写真やフォトブックに関するインタビュー
写真やフォトブックに関するインタビュー
「いい写真だね」と言ってもらえると素直に嬉しいのだけれど、同時に「いい写真ってなんだろう」と考えてしまいます。それは、わたしが少しひねくれた性格をしているからかもしれませんが…(笑)。写真を撮っている人なら一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
今回は、撮影方法や技術とは少し離れた「いい写真」についてのお話、お付き合いください。
私が本格的に写真を撮り始めたのは、大学に入学してから。なにもかもが真新しい世界に胸が高なっていたのを今でも覚えています。ただ、そのときの私にとっての「いい写真」は、“みんながいいと言う写真”だったようにも思います。
自分がどう思うかというよりも、先生に褒めてもらえた、友人がイイねと言ってくれた…。自分には良さがよくわからない入選作品やカメラ雑誌の紙面の写真を見ては、「なるほど。こういうのが“いい写真”なんだ!」と考えていました。
もちろん、それが間違っているとは言いません。ですが、「いい写真とはこういうもの」という答えを決めてしまうのはよくないと思うのです。答えを決めてしまうと、「いい写真」を撮るために、感じて撮るのではなく、考えて撮るようになってしまうから。
私は実際、「いい写真」にとらわれ続け、苦労してきました。撮影後の写真をみては、「これはきっといい写真ではない」と、誰の目にも触れぬまま、プリントする前に決めつけてしまうことも多かったように思います。考えすぎるあまり、写真を楽しめなくなってしまうどころか、「私には才能が無いんだ」と、カメラを見るのも嫌な時期がありました。
ですが、撮り続けてきた今だからこそ思うのは、“考えるな、感じろ。”です。ありきたりな言葉にがっかりされてしまうかもしれませんが、大切なのは自分の想い。嬉しい、楽しい、悲しい”自分自身で感じることができなければ、誰の心も動かせません。逆に言えば、自分でいいと思うことができれば、それが「いい写真」なのだと私は思います。
もちろん、夜景には綺麗に撮影するコツがありますし、ポートレートにもライティングのコツがあります。技術が身につけば、自分の表現したい世界感に近付けることができるでしょう。その為に、カメラの機能について勉強することも確かに大切ですが、どんなに良い構図、構成だったとしても、それは後からついてくるもの。まずは、自分の素直な感情を消さないように、大切に大切に撮り続けてみてください。
オススメは「好き」なことをテーマにすること。私だったら「旅」ですが、動物、花、鉄道、人…なんでも構いません。好きだから撮る。そういうことは長く続くものです。それが一番の上達の近道だと私は思います。
あなたが撮影した写真は、世界に一枚の特別なもの。
さぁ、カメラを持って出かけましょう。
今日はどんな風景に出会えるかな、期待に胸をふくらませながら。
[ Photo by maaya ]
※無断で画像を転載・使用することを固くお断りします。
Do not use images without permission.
1988年、埼玉県生まれ。日本大学芸術学部で写真学科を専攻後、写真事務所にて修行。第2回世界旅写真展入選。
アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真に魅了され、カメラを片手に海外を放浪。現在、
フリーのフォトライター/編集として「TABIZINE」の他、Webニュース媒体で記事執筆/撮影を担当。
旅の終わりにフォトブックを作ることが好き。
好きなカメラ:Nikon/FUJIFILM
好きな言葉:「写真を撮ること、それは、同じ照準線上に頭、目、心を合わせること。つまり、生き方だ。」(アンリ・カルティエ=ブレッソン)