デジカメで上手に写真を撮影するテクニック
デジカメで上手に写真を撮影するテクニック
秋といえば紅葉シーズン。
寺社仏閣も山々も公園も、木々は赤や黄色の葉で鮮やかに染まり、
秋のすっきりとした青空に映える季節です。
少し肌寒くなってきますが、それが写真撮影にはもってこいの気候。
なぜなら、気温が下がることで空気中の水分含有量が少なくなり、
よりすっきりとした写真を撮影することができます。
太陽を背に順光で写真を撮ると、空が青く濃く写ります。ただし、紅葉の葉っぱの表面が太陽光を反射してしまい、白っぽく写ってしまうときがあります。そんなときは、 表面反射を取り除く効果のあるPLフィルターを使いましょう。PLフィルターを装着して枠を回転させることで、葉や空の色が深く濃くなる瞬間があります。その位置で回転を止めて撮影しましょう。 レンズによってはピント合わせをするたびにレンズの先端が一緒に回ってしまうタイプのレンズがありますので、ピント合わせが終わったらオートフォーカスをオフにしてマニュアルフォーカスに切り替え、ピントの位置をしっかり固定した状態でPLフィルターの枠を回転させましょう。
紅葉は、葉っぱが薄く光を通すので、逆光の太陽や明るい空を背景にして写すと、葉を透けた光の効果で色が鮮やかに美しく表現されます。順光の時のような葉の表面の反射もないこともポイントです。 葉の色鮮やかさはもちろんですが、光を通さない枝や幹がシルエットで写ることによる色と影とのコントラストが、印象的な写真を演出してくれます。
最近ではかなり改善されましたが、デジタルカメラは、上の写真のように濃い赤色がベタッと塗りつぶしたような色になる傾向があります。色鮮やかさを追い求めすぎて、コントラストを強調する設定にしたり、彩度を上げすぎたりすると、グラデーションのない赤になってしまうので気をつけましょう。
露出は赤い紅葉はマイナス補正で深く濃い色合いに、黄色い紅葉はプラス補正で明るく鮮やかに撮影してみましょう。赤色は、明るくしすぎるとピンク色っぽい赤になる傾向があります。印象に近い赤色に仕上げるには、少しマイナス側に補正して撮影しましょう。
上の写真のように背景を大きくぼかし、葉の色合いだけの表現にすると、同系色の中での撮影でも、主役が引き立ちます。陽の当たった葉の背景を暗く日陰にしたり、逆に背景を明るく葉をシルエットにしてシンプルに表現するなど、主役の葉に対して明暗のコントラストが強い背景を選ぶのも良いでしょう。
秋になると、太陽の光が低い位置から強く斜めに射すようになる時間が長くなります。斜めからの光は、陰影を長く伸ばし、より一層強調してくれるので、ドラマチックな光の演出になります。日が短く暗くなるのが早い季節ですが、木漏れ日など、いろいろな光を見つけながら撮影してみましょう。
庭園や観光スポットなど、紅葉のライトアップがされる場所では、昼間の自然光とはまた違った表情を見ることができます。
人間の目は、明るさに対して非常に柔軟に出来ていますから、明暗差が大きくてもバランスよく紅葉を楽しむことができます。しかし、写真撮影では、強くライトアップされた部分と暗闇に近い部分を一つの写真の中に捉えると、ライトが当たった部分は明るすぎ、影の部分は暗すぎて真っ暗に写ってしまい、見た印象とは異なった風景になってしまう場合があります。
照明の当たり具合の強弱をうまく見極めながら撮影ポイントを探すことが重要です。
奥まで続く紅葉風景にピントをしっかり深く合わせて撮影する場合、絞りを絞り込んでいくことになると思います。その時、シャッタースピードのチェックもしっかり行いましょう。
紅葉の葉は軽いので風に揺れやすく、シャッタースピードが遅くなると、ブレてしまいます。
カメラ背面の液晶モニターでは気づかなかったような葉の揺らぎによるブレが、写真を大きくプリントした時にはしっかりと現れてしまいます。絞り込んでピントを深くしっかり合わせたつもりが、ブレていることでメリハリのない写真になってしまうこともあります。
絞り込んでの撮影は、画面がざらつかない程度に少し感度を上げて、手ブレだけでなく葉ブレ(被写体ブレ)しないように気をつけて撮影しましょう。
【執筆者 川上博司(かわかみ ひろし)】