デジカメで上手に写真を撮影するテクニック
デジカメで上手に写真を撮影するテクニック
成人式といえばきれいな着物!普段なかなか見られない華やかな、
それも一生に一度という成人式の姿を、しっかりと写真に収めてあげましょう。
これは、カメラマンとしての腕の見せ所です!
カメラ撮影テクニックも大切ですが、
モデルさんを美しく見えるように整えてあげることも、大切なポイント。
撮影前に、着物のいろいろなポージング写真を検索して、
事前にイメージトレーニングをしておきましょう。
二つ三つだけでも華やかなポージングを入れておくと、フォトブックを作る時に役立ちます。
ただただ何枚も多くの写真を撮るだけでなく、
フォトブックにした時にどういう構成にするか、
表紙にするならどの写真がいいかなどもイメージしながら撮影してみましょう。
まずは、着物を着た姿がきれいに見えるように正統派の美しいポーズで、しっかり撮影しましょう。
基本のカメラ設定として、レンズは50mmよりも望遠で、モデルさんの目線の高さよりも少し低い胸元あたりの高さにカメラを構えます。
レンズは、数字の小さな広角側になればなるほど、形が歪んで写ってしまいます。つまり、広角レンズでモデルさんを見下ろすように撮影すると頭でっかちに、見上げるように撮影すると巨人のように写ってしまうのです。
意図して誇張した表現をしたい場合は別ですが、スタイル良く美しいありのままの姿を撮影してあげたいときは、できるだけ50mm以上のレンズを使い、胸元ぐらいからの高さにカメラを構えて撮影しましょう。
カメラの撮影モードは、フルオートでもプログラムモード(P)でも構いませんが、背景を大きくぼかしたい時には、絞り優先(A)モードに設定、絞りの数字をできるだけ小さい数字(5.6よりも小さな数字に)して、離れたところからでもアップで写る望遠レンズを使って撮影してみましょう。
背景をほどよくぼかすことで、モデルさんが背景から浮き立ち、主役としてしっかり引き立ちます。
背景を決めるときは、衣装の色や柄を邪魔しない、シンプルな背景の前に立ってもらうことにも気を配りましょう。
そして、カメラが傾かないように水平垂直を整えることも重要です。水準器機能がついているカメラもありますから、まっすぐ整った写真を撮影するために積極的に活用しましょう。
モデルさんの胸元くらいの高さにカメラを構えるとなると、カメラマンは、少し膝を曲げて腰を落とすようなスタイルで撮影するようになりますので、三脚を使ってしっかりと構える方が、構図が安定し、撮影が楽になるのでオススメです。
持ち物は愛機と勇気。先程の「撮りたい雰囲気」と予算を店員さんに伝え、レンズの相談にのってもらいましょう。実際に装着させてもらうことをお忘れなく!ボディとレンズのバランスはとても重要です。試してみるとレンズが大きすぎたり、あれ?と思うこともあります。その場で試し撮りをして相性を確認してください。
基本の立ち方は、体の向きをカメラに対して正面ではなく、少し斜めを向いて、髪飾りがカメラ側に向くよう立ってもらうことです。その際に足元は、カメラ側の足の爪先を少し斜めに内股状態にして前に出してもらうことがポイントです。これは和装の足元の基本として覚えておきましょう。
ポーズが決まったら、振袖のメインの柄が、しわになったり折れたりせずにしっかり見えているかをチェック。裾の乱れ、襟の幅の揃い方など、ほんの小さな部分の整え方や仕上げが写真の出来上がりを左右します。
多少のことは画像修正ソフトで……なんて甘く考えていると、なかなかきれいに修正できず手間ばかりかかってしまいますから、撮影する時にしっかりきれいに整えておきましょう。
いつもカメラ目線ばかりではなく、たまには後ろ姿や視線を外した表情も撮影しておきましょう。
和装の場合、特に後ろ姿は、帯の結び目などとても美しく仕上げられているにもかかわらず、着ている本人には見えません。そういう姿こそ写真にしっかり残して撮影すると良い思い出に残ります。
後ろ姿を撮影するときも、斜めに立ってもらう方が帯の立体感が出てきます。まっすぐに立った後ろ姿だけでなく、振袖を広げて見せるなど、ポージングを工夫してバリエーションを増やしましょう。
曇りで光のメリハリが足りない時には、ストロボを使うと、シャープな光が着物の色合いを引き立たせてくれます。外での撮影の場合、背景とモデルさんが離れているときは、直接ストロボの光を正面から当てても大丈夫。ストロボの光を直接当てるときの大敵は、背景にできる強い影です。背景とモデルさんが離れていれば、背景に強い影が出ることはありません。
逆に、お天気が良すぎて顔や着物に強い影ができたり逆光になってしまう時にも、太陽光でできた影を弱めてくれるストロボ撮影が有効です。
オートで撮影する場合、絞り優先(A)モードにして、ストロボの光がいかにも当たってます!と、見えてしまわないように気をつけましょう。
ストロボの光の強さは、調光補正というストロボ光の露出補正機能を使います。
写真全体の明るさを調整する露出補正機能とは独立して、ストロボの光の強さのみを+/-で調整できるようになっています。風景の明るさとモデルさんに当たったストロボの光の強さのバランスをうまく調整しながら撮影しましょう。
こんな大げさなポーズなんて恥ずかしい!とか、今の笑いすぎてたかも……なんてモデルさんが思っても、写真としては華やかな着物とバランスのとれたポーズや笑顔に。普段以上に自分を表現してもらえるよう、演出してあげることもカメラマンの腕の一つです。
そしてモデルさんをほめる時には、
「すごくきれいな着物だね!」ではなく、
「きれいな着物がすごく似合っているよ!」とほめてあげましょう。
あくまでも主役は、着物ではなくモデルさんなのです。
着物の美しさをほめるのではなく、美しい着物が似合っているモデルさんのことをほめてあげましょう。
それはたとえば、カメラマンが
「さすが!いいカメラ使うと、いい写真が撮れるね~」とほめられるのと、
「さすが!いいカメラを使いこなせる人は、いい写真が撮れるね~」とほめられるのの違いみたいなものです(笑)
あくまでも、きれいな着物を着こなしているモデルさんをほめてあげることが鉄則です。
お友達と一緒に2ショットや3ショット写真を撮影する場合も、カメラに対して真正面ではなく、少し斜めを向いて立ってもらいましょう。2ショットであればそれぞれ内向きか外向きに立ってもらうと、構図のバランスが良くなり動きも感じられるようになります。
集合写真を撮る場合も、全員に同じ方向に斜めを向いてもらうのも良いですが、中心に向かって斜めに立ってもらう方が構図として落ち着きます。
動きのあるポージングを作る場合は、外側になる手でポージングをしてもらい、モデルさん同士の間を空けないように大胆に近づいてもらう方が、写真としては、まとまりを感じる構図になります。
モデルさんは、着物を着ているだけでも結構疲れるものです。
特別な日ですから、いろいろな背景で撮ってあげたくなりますが、できるだけ少ない移動で数パターンの背景が撮れる場所を見つけておきましょう。
歩いて移動する際には、大きな歩幅で歩けないモデルさんに配慮して普段以上にゆっくり歩いてあげるなど、モデルさんを疲れさせないで、いい表情やポーズを短い撮影時間で引き出すようにする気遣いも撮影テクニックの一つです。
移動中や、撮影の合間のスナップ写真も自然な表情や仕草が出ていて、フォトブック作りのアクセントになります。
あくまでも主役は、カメラマンではなくモデルさんであることを忘れないように心がけましょう!
撮影が終わったら、フォトブックにまとめてモデルさんや家族にプレゼントをすれば喜ばれること間違いなし!あらかじめ想定していた構成通りに撮れたか、もっといい写真が撮れたかを考えながら、写真を見返して選ぶ作業は、撮影していたカメラマンにとってもレベルアップのチャンスです。今回の撮影でよかったこと、次はもっとどうしたらいいか思い返しながら、素敵なフォトブックを作ってあげてくださいね。
【執筆者 川上博司(かわかみ ひろし)】
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