デジカメで上手に写真を撮影するテクニック
デジカメで上手に写真を撮影するテクニック
四季を通じて様々な表情を見せてくれる富士山は、
日本を象徴する代表的な風景として欠かせない被写体です。
そんな富士山の様々な表情を捉えた作品を見ながら、撮影のコツやポイントをご紹介します。
まるで古の時代にタイムスリップしたかのような、日本の古い時代からの歴史を感じさせてくれる建物と富士山との写真。ここは外国からの観光客にも密かにブームとなっている撮影スポットです。
この作例写真の撮影された条件は、夕景と夜景の間の時間帯。闇に包まれる前の空や富士山と、ライトアップされた建物と桜の明るさのバランスをとって撮影された作品です。
これよりも早い時間に撮影すると、まだ空が明るく建物がシルエットになるか、背景の富士山が明るくなってしまいます。またこれ以上遅い時間になると、建物のライトアップの光が強くなり、背景の富士山が暗く沈んでしまいます。
絶妙な時間帯のタイミングと露出バランスを取れてこその写真なのです。
桜や空のピンクを少し強調したい場合、ホワイトバランスを蛍光灯に設定にすると、画面全体が少しピンク色に傾きますので、そのような裏技を使ってみるのも面白いかと思います。
秋になれば富士山周辺は紅葉の撮影スポットが多くあります。
この写真は河口湖周辺の紅葉と富士山を捉えた写真です。このように紅葉越しの富士山を撮影する場合、太陽の光が紅葉に射して、富士山と紅葉との明暗差が小さいことがとても重要になります。陽が射さない状況ですと、紅葉と富士山との明暗差が大きくなり、せっかくの紅葉が暗くなってしまったり、富士山が明るすぎる表現になってしまったりします。紅葉が暗い時は、露出を富士山に合わせた上で、ストロボを補助光として当てる『日中シンクロ』というテクニックを使いましょう。その時に、ストロボの光が強すぎると、いかにも当てました!という感じの写真になってしまいますので、少し弱めにストロボの光を当てると良いでしょう。
この写真は、河口湖の冬の時期に行われる花火大会で撮られた作品です。
冠雪した富士山と、夏のイメージの花火が共存している不思議な写真でもあります。少し暗めの露出設定にすることで、富士山の夜の雰囲気を強調し、花火の色彩も色濃く表現されている作品になっています。
広く平坦な大地からそびえ立つ富士山は、風や雲の流れを遮り変化させることで、不思議な雲の情景を生み出します。その日の天候や季節の変化、気温や湿度、風の方向や強さによって、様々な形の雲がかかります。雲のかかった富士山は、大胆で不思議な魅力を感じさせてくれます。
富士山の山頂に重なるように太陽が沈んだり昇ったりする瞬間、まるで富士山にダイヤモンドの輝きが添えられたような状況を捉えたのが『ダイヤモンド富士』と言われる姿です。時期やポイントに関しては、富士山周辺の地域観光ホームページなどに詳しく載っていますので調べてみましょう。
この写真のように放射状の線を捉えたい場合は、絞りを16や22くらいまで絞り込んで撮影しましょう。絞り羽根の角の効果でこのような放射状の線が映り込みます。
ちなみに、月が山頂にタイミングよく乗った状態は『パール富士』というそうです。月は満ち欠けがありますので、うまく撮影できればより一層貴重なシーンを捉えた写真となることでしょう。
富士山周辺には富士五湖と言われる湖があります。その水面に映り込む姿は、逆さ富士として有名でフォトジェニックなシーンです。水面を生かして撮影するときのポイントは、風。水なのに風がポイントとは不思議ですが、風が少しでも吹くと、水面が波打ち乱れてしまいます。鏡に映し込まれたような完璧な逆さ富士を撮影するなら、無風状態になるのを待ちましょう。
裾野がなだらかに広がる富士山も美しいですが、山頂付近に望遠レンズでグッと寄った富士山は、深く刻まれた谷が強さや荒々しさを感じさせてくれるダイナミックな姿を見せてくれます。雪の吹き付けた山肌と、低い位置から射す光が作る影がとても印象的なこの写真。コントラストの高いモノトーンの表現がより一層陰影を強調しています。カメラに内蔵されている特殊効果フィルターなどを使って、より印象深く富士山を表現してみるのも良いでしょう。
この風景は、昔の500円札に描かれていた方向から富士山の風景を写真に捉えたものです。空と日の光に染まった霞の色合いのバランスと、手前の山々の陰影がまるで水墨画のような印象に感じられます。富士山は写真のない時代から、様々な日本の絵に描かれ、その雄大で神聖な姿で芸術家たちを魅了してきました。そんなずっと変わらずあり続けている自然の時の流れを感じさせてくれる写真です。富士山は数多くの名画に描かれていますから、その描かれたポイントに立って、描いた画家と気持ちや感動を共にしながらシャッターを押してみるのも良いでしょう。
時代は変われど長きにわたってその美しい姿を魅せ続けている富士山は、季節はもちろん、日々の天候や時間帯によっても無限の表情を見せてくれます。
そして、美しく広がる裾野は、一見同じように見えても、東西南北の眺める方向によって、微妙に形が異なります。
その日その場所その瞬間にしか撮れないあなただけの富士山を、ぜひ写真の中に閉じ込めてみましょう。
【執筆者 川上博司(かわかみ ひろし)】