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MyBook FLAT とは?
見開き部分が180°フルフラットに開く新しいタイプのフォトブックです。
日の丸構図は、被写体をいちばん注目させたい時や、インパクトを与えたかったりする時に有効な構図です。数ミリの小さな動いている魚の水中写真を撮るには、一眼レフカメラのいちばん精度が高い中央のフォーカスポイントで合わせるため日の丸構図を多用します。
本には「ノド」と呼ばれる綴じる部分があり、日の丸構図の写真を見開きに配置すると、主役の被写体がノドに来て見えなくなってしまいます。だから、写真集を作る時はデザイナーさんによく注意されていました(笑) 結局、見開きページは写真を差し替えたり、トリミングで被写体の位置をずらしたりするのですが、個人的には主役の被写体をドーンと見せられる日の丸構図が好きなので、写真をいちばん大きく配置できる見開きで見せたいと、ずっと思っていました。だから、MyBook にフルフラットタイプが出た時は嬉しかったです。
特徴1 見開きがフルフラット
特徴2 7色印刷による繊細な色表現
特徴3 重量感のある厚紙
とにかくFLAT の印刷は色がすごくキレイで驚きました。僕は今まで水中の写真を雑誌や写真集などでたくさん発表してきましたが、水中の色を表現するのは本当に難しいと感じています。陸の上は日光が当たっているから色がキレイに出ますが、水中は水の層があるため光が柔らかくなり過ぎて、色が出づらくなります。特に淡いパステルカラーのような繊細な色は白トビしやすく、色がきちんと再現できませんでした。
だけど、MyBook FLAT は濃い色から淡い色の中間トーンの再現性がとても高く、今まで出なかった色や細部のディテールが再現されていました。
また、僕の作品は艶々した光沢紙は合わないと思っていましたが、その考えが変わりました。今まで光沢紙は反射が出て苦手だったのですが、FLAT は厚紙で紙が歪みにくいので、紙をめくるときに反射が出にくいです。そのため光沢なのに色がしっとり見えると思います。光沢紙の発色の良さと、反射が出にくい厚紙のいいとこ取りです。
僕はMyBook FLATが、豪華な装丁なので特別な作品集向きだと思って作っています。特に思い入れのある写真は大きく見開きで見せたいので、ノドが邪魔をしないのが嬉しいですね。普通、写真集は横向きの表現が基本だと思います。
ですが、FLATの可能性をみなさんに提案したくて、花の写真をまとめた『*ココロニハナヲ*』では、あえて縦にして作りました。お花は空に向かって縦に咲くものなので、そういった意味では縦の見開きを意識して作るのも面白いかもしれません。例えば、桜って上だけを撮りがちですが、こちらの写真は地面にも散った桜が敷き詰められていて、上下に見所があったので縦長の構図で撮影しました。正方形のFLATを縦に使った縦長のフォーマットはピッタリだと思いますね。この写真をクライマックスに持ってきたくて、『*ココロニハナヲ*』の構成を考えました。
写真を見返すと、1枚で大きく見せるのに合っている主役級の写真と、好きだけど主役にはしづらい写真がでてくると思います。主役級の写真は、見開きや1ページで大きく、主役にしづらい写真は小さくサブカットとして配置するといいと思います。
写真のレイアウトを一から作ると大変ですが、無料でダウンロードできるMyBook Editorにはいろいろなテンプレートが用意されているので、自分の好きな写真をバランス良く配置できます。僕のようにパソコンが苦手な人でも、フォトブックを簡単にセンス良くまとめられますよ。
僕が作品集をまとめる時は、最初にメインの写真を決めて、その写真を流れの中のクライマックスに持ってくるようにしています。あと、旅行の写真だったら、旅行のストーリーに沿って作っていくのが王道で、まとまりが良いと思います。
沖縄の旅をまとめた『Magical Island』は、最初の1枚目に“沖縄”を感じさせるためにシーサーの写真を、次に見開きでバーンっと沖縄の真っ青な海の写真を入れてインパクトを出しました。最初の段階でインパクトのある写真を持ってくると、読者を作品の世界に引き込みやすくなります。フルフラットで横長ワイドの配置は、風景写真が合うと思いますね。見開きや1ページ1作品、複数展開など流れを意識して並べて、最後は1日の終わりを連想させる日没の写真を持ってきました。
これまで、MyBook FLATで3冊の作品集を作りました。FLATは高級感や重厚感があるので、それに合う写真もセレクトする必要があって、“今まで撮った写真のベスト版”という位置づけでセレクトした方が合うと思います。
逆にMyBook ARTシリーズなどは、本という役割が強いので、いつでも写真を見返すことができるように1つの旅に1冊とか、子どもの成長記録で1年に1冊とか、イベントごとに作ると楽しいと思います。定期的にARTを作って、節目の集大成としてFLATで作るイメージですね。
FLATを作る時のページ数はそんなに多くなくていいと思っていて、10ページ単位で作れるのでまずは自分の大好きな写真を10枚集めて作ってみて欲しいです。写真を撮っている人のポートフォリオにもオススメで、発色がすごくキレイでフルフラットだからとても見やすい。見せる相手にも自分の写真の良さが伝わりやすいと思います。
むらいさち
沖縄でのダイビングインストラクターを経て写真の世界へ。現在はフリーランスとして、水中からオーロラまで、世界中をフィールドに一年の多くを取材先で過ごしている。撮影のテーマは、「しあわせのとき」。著書に『しあわせのとき』(Libro Arte)、『きせきのしま』(小学館)、『LinoLIno』『ALOHEART』(LifeDesignBooks)、『FantaSea』(BUNKADO)など多数。
むらいさちHP:http://muraisachi.com/
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