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写真家 鈴木知子インタビュー

スナップ写真は日常の小さな感動の連続~特別な作品集として「MyBook FLAT」でまとめるヒント


横浜で生まれ育ち、横浜の変化をスナップし続ける写真家の鈴木知子さん。スナップ写真のシャッターチャンスは、日々の暮らしの中で見つけた発見や小さな幸せがほとんどです。はかなく消える“うたかた”のようなシャッターチャンスを捉えた写真を、作品としてまとめるために、鈴木さんが意識していることを伺いました。

MyBook FLAT とは?

見開き部分が180°フルフラットに開く新しいタイプのフォトブックです。

レイアウトパターンを固定してシンプルに組む


MyBook FLATはすごく豪華な装丁なので、撮り下ろしではなく、今まで使った作品や使いたかったけど発表する機会がなかった未発表作品を追加して、私の集大成の作品集としてまとめました。

スナップフォトは、写真のジャンルではポストカードくらいの割と小さく見せる写真というイメージがあります。だからこそ写真集のなかに大きく扱って、“特別な写真”として見せたかったんです。


FLATは、ノド(本の綴じ部)を気にすることなく、見開きで写真を大きく見せることができます。カメラのアスペクト比を3:2の長方形で撮ることが多いので、見開きで1枚使う写真は3:2の「長方形」で、1ページに写真1枚で見せる写真は「スクエア」でと、見写真のレイアウトはこの2種類に固定し、長方形とスクエアの写真を変則的に配置して、単調にならないように、ストーリーを考えながら並べました。

スナップ作品は何も考えずに写真を並べてしまうと、ドキュメンタリー的な見え方が強くなってしまいます。作品としてストーリー仕立てにしたいと考えた時、時系列で並べるという方法もありますが、私はフォトブック1冊を通して色のグラデーションでつないでいくという構成にしました。

海のブルーからはじまり、グリーンに移行して、グリーンの写真の中に温かみのあるアンバー系が入って次のページで茶色に変化して、赤い首輪の無彩色の猫の写真を挟んで、赤い写真につながる…というふうに、緩やかに色が変化するように写真を並べています。

一期一会の日々のうつろいを表現


スナップフォトは、“その場、その瞬間”をとらえることから一期一会の出会いだと言えます。ただ、タイトルが『一期一会』という四文字熟語だと固い印象なので、ビートルズの有名な楽曲にもある『HELLO GOODBYE』をタイトルにしました。スナップは、被写体と出会い挨拶する間もなくすぐ別れる感じなので、まさにピッタリな言葉だと思います。

理由付けをしてからまとめる

スナップフォトは一期一会の瞬間を切り撮っていますが、風景写真の雲海のような壮大なドラマチックさはなく、生活の中で見つけたささいな感動やドラマなんです。見つけたときは感動するけど、夜寝る前になると忘れているという…。ですので、何も考えずにまとめると、とりとめがなくなってしまいます。フォトブックを作る時、セレクトやレイアウトに悩んでいる生徒さんがよくいます。そんな時、私は全ての写真に理由付けをするよう伝えています。


撮影時もそうですが、この写真はなぜここに入るのかを、自分の中で理由付けしておかないと、自分でもよくわからないものが出来上がります。例えば、「起承転結にするため、最初のページは始まりをイメージさせる朝の写真」とか、「最後は希望が感じられるように朝焼けの写真で終わらせよう」とか。フォトブックを人に見せたとき、自分の写真について話せるようにまとめるのがいいと思います。

あとは、緩急を付けるために、写真をセレクトする時は寄り引きやアングルを意識すると、画に変化がでます。また、私のスナップフォトは直線的な構図が多くなりやすいので、わざと曲線を意識してセレクトすることも多いですね。今回の『HELLO GOODBYE』では、見開きで写真を2枚使うときは、直線と曲線を対で使う事が多かったです。

ちなみに直線は視線の流れを作る効果がありますが、FLATは直線の効果を活かしやすい装丁だと思います。

写真は見返すと違う役割が出てくる


写真は一度もまとめないと、見返すことなく消費される写真になってしまうという危機感が私の中に常にあります。自分の写真を見返す機会として、フォトブックを作ることはすごく勉強になります。写真と真面目に向き合っているならなおさら、まとめるという作業は大切です。


また、写真は一度まとめたらおしまいではなくて、何度も見返すことで変化するものです。写真は一度フォトブックなどにまとめてもその中の1枚がまた別の組写真で活躍する日があるから、とにかく自分の作品を大事に、ということを生徒さんにもよく伝えています。実は『HELLO GOODBYE』の表紙で使った写真も、以前2枚組で使用したうちの1枚なんです。まとめ方で写真の役割が変わってくるのも、フォトブックを作る楽しさだと思います。

まとめることは記録としてもすごく大事ですね。家族やペットなど、大切な思い出の記録として残しておくと、長い目で見た時、作っておいて良かったと気づく日が来ると思っています。

作品イメージをそのまま見せられる最強ツール


写真のイメージは明るさによって大きく変わってしまうので、私は作品の明るさは特にこだわっています。撮影の段階から、露出をかなり追い込んで何枚も何枚も撮影します。

撮影時にそれだけこだわっても作品をプリントする時、印刷会社によっては写真の色が沈んでしまうこともあるのですが、FLATは私のイメージした明るさが忠実に再現されていました。紙もほどよい光沢でクリアな感じが作品とマッチしました。

今やブログやSNSで作品を見てもらえますが、モニターの大きさはスマホやPCなどそれぞれだし、明るさも違う。写真のインパクトや細部までの見やすさ、こだわり抜いた色も含め、「これが私の伝えたい写真です」と作品を見せるには、フォトブックは最強のツールだと思います。

鈴木知子

スナップフォトグラファー。
神奈川県横浜市出身、横浜在住。東京工芸大学短期大学部卒業。広告撮影プロダクション入社。写真家、柳瀬桐人氏のアシスタントを経験後、コマーシャルフォトを中心に活動。近年は写真の書籍の執筆やセミナー講師、フォトコンテストの審査など多岐にわたる。主な著書に『すずちゃんのはじめてのカメラとレンズ』『すずちゃんの理解して学ぶカメラとレンズ』など多数。地元横浜に事務所を構え、横浜をテーマにした作品を中心に365日スナップ作品を自身のブログに更新中。
鈴木知子 フォトブログ:すずちゃんのカメラ!かめら!camera!

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